2025年4月定例句会第165回以降


2025年4月定例句会第165回
新月に卵を立てる春深し 雄蕉
霾るや富士山噴火に話飛ぶ 五郎
仁王門くぐれば花の称名寺 あきこ
満開の花吹き上ぐる暴の風 ヒサ
囀りや一樹の中の歓喜かな 啓子
十二色庭にも有りし四月かな きょうこ
五丁目が二丁目を訪う猫の恋 あやこ
喜びと悲しみの風桜ふぶき
生きるとは旅をすること鼓草 弘棋
公園の桜ふぶきや花見酒
ふりかへりまた振り返る花の雲 あきこ
まだ春か双眼鏡の世に余る 雄蕉
春眠の覚めて独りの春愁い 五郎
珈琲にミルクを少し春時雨 あきこ
はらはらと部屋の中まで桜散る ヒサ
花桃の丘に縄文美術館 啓子
桜撮る五指にネイルの樹下美人 きょうこ
待ちわびし見頃ひんやり春の雨 あやこ
入学の仲良しこよし手をつなぐ
吹く風と何を語るや雪柳 弘棋
片吹の柿若葉付き売り物件 あやこ
夜桜やライトアップに魅せられて ヒサ
名残惜し李白も去るか春の宴 雄蕉
不登校児何をふらふら紋白蝶 五郎
満開の桜かがやく空となり あきこ
苦味よし料理さまざま蕗の薹 ヒサ
山北に古武士のような老い桜 啓子
一本の桜見るため時刻表 きょうこ
かなしみにいろあるならば夕桜 あやこ
隣家なく春光入りて空広し
清明やごろん悟りの猫になる 雄蕉
春の日の光ぽとりと落つ窓辺 弘棋
眺め見る人それぞれに散る桜 弘棋
うららかや親子二代の襲名披露 五郎
追ふやうに山のぼりゆく桜かな きょうこ
咲くも良し散るも尚良し花吹雪 啓子
みどりの日すべり発掘昭和の日 雄蕉
共に見し桜に独り佇めり 五郎
何事もなく過ぎて夕桜かな あきこ
夜桜や灯りの中に散り惜しむ ヒサ
アルプスの尾根に刃金の残り雪 啓子
せせらぎをやや狭くして散り桜 きょうこ
しきりなる桜吹雪へ下校の児 あやこ
孫の背やぐんぐん伸びるつくしんぼ
書き割りを抜け出し空に春の雲 弘棋

2025年5月定例句会第166回
お茶漬けを奈良でいただく五月かな 雄蕉
山藤の濃く淡く咲く峠かな あやこ
雲の峰つながる先に戦禍あり
鳥遊ぶ窪みに積もる桜蕊 ヒサ
不可解な五月病とや芥子の花 五郎
色とりどりの若葉あふるる山河 あきこ
住む町に三軒ほどの鯉幟 啓子
春夕や予約叶わぬテラス席
田植え待つ水田にどんと逆さ富士 弘棋
愛なんて不確かなもの卯波立つ なごみ
雨止みぬ鶯庭に鳴き交わす ヒサ
すみれ草古都旧都の道しるべ なごみ
苺香や手のひら嗅ぎて二度楽し
山間の山吹の花ほのかなり ヒサ
混沌の五月の空に宇宙船 五郎
何処より夏鶯や雨あがる あきこ
老鶯や緑の中の句読点 啓子
梢梳き馳せ来る風野は五月 なごみ
青田風今放たれし余生かな 啓子
ネモフィラの優しき青の夏来る
信号を待つ身忘れて初燕
渦潮の鳴門大橋大南風 あやこ
世のために逃げるお金や白芙蓉 雄蕉
梅雨空に窓付く雨を見る子猫 弘棋
議事堂は白河夜船初夏の宵 雄蕉
鋭角に跳ねて狭庭の五月の陽 あやこ
色パズル昭和公園のチューリップ
蔦強く螺旋登り空青し ヒサ
筍の旬を味はふ平和な日 五郎
掘り起こす手に新じゃがの土香る あきこ
坦坦と一人の旅路花は葉に 啓子
四季織のかほり重ねて初ガツオ
初島へ航跡伸びて風光る なごみ
あと少しもうここまでと草を引く あきこ
薫風や竜馬の立ちし桂浜 あやこ
首輪解く犬や躍りて夏の浜 弘棋
老鶯の声や移りて森の奥 弘棋
阿修羅像のひそめし眉や青嵐 なごみ
バナナ食う猿の笑いや仏顔 雄蕉
風薫る樹下に花咲く無駄話
春の宵女神輿のいなせ足袋
白牡丹一途に白を貫きぬ 啓子
風に揺れ木漏れ日に揺れ若楓 あきこ
召物も気配りのうち新茶汲む 五郎
種を蒔く朝日背中に貯めながら ヒサ
万緑の木の香にむせぶ散歩道
独り住む家となりけり姫女苑 五郎
南極が小さくなったと初燕 あやこ
バチカンにのぼる煙や夏広場 弘棋
奈良京に鎌倉初夏の陽は陰る 雄蕉
2025年6月定例句会第167回
屏風絵の滝壺からの叫び声 雄蕉
ノラ猫の肩甲骨や桜桃忌 なごみ
梅もらひ迷ひたりけど煮る事に ヒサ
墓洗ふ故郷匂う夏木立 きょうこ
梅雨晴間ひとりあそびの子がひとり あやこ
黒き線大河のような蟻の列
梅入りして青き匂ひの山河かな あきこ
蝸牛牛歩の散歩病み付きに 啓子
蘭奢待飛蝗に名誉食われけり 雄蕉
形代に息を吹きかけ夏越かな 啓子
青絵の具空に溶かして梅雨晴間 弘棋
日本株闇に迷路の梅雨晴間 雄蕉
枇杷剥いて母の笑顔はまんまるに きょうこ
夏時間今日より気合ひ入れ直し ヒサ
メトロ出てギャラリーまでの梅雨晴間 なごみ
紫陽花の咲き誇る道下校の子 啓子
ソーダ水の泡消えるまで人を待つ あやこ
鮎料理言葉はじける四人組
長谷寺に紫陽花濡れて山蒼し あきこ
ただ若葉風に吹かれておりにけり あきこ
実梅ひとつころがっていく坂の街 なごみ
暮れなずむ山を影絵に梅雨夕焼 弘棋
あじさいの涙か花に雨しずく 弘棋
梅雨もないガザの瓦礫はパンになる 雄蕉
白きシャツ行き交ふビルに夏来たる きょうこ
夏草や団地掃除の鎌を研ぐ ヒサ
園児らの帽子は黄色枇杷実る なごみ
万緑や不動池から銀の風 啓子
囀りの森に正調破調かな あやこ
夕立や犬と共に走る走る
風薫る角の花屋に花あふれ あきこ
万緑すみどりきみどり深みどり あやこ
お揃いの帽子は黄色柿若葉 きょうこ
江戸小町競ふ如しに花菖蒲 弘棋
枯山水見えずつかめず父の日は 雄蕉
あじさいや昨日に続き寺参り きょうこ
黴雨やまず死して三ノ輪の浄閑寺 なごみ
春行くや友の訃報の淋しかり ヒサ
淡い色どきっとする程濃あじさい 啓子
紅二重静かなる町抱きをり あやこ
色路線マップトラベル夏夕べ
バス待ち見上げし笑顔つばめの子
風小さく風の大きく新樹晴 あきこ
藤波やこぼるる花も又愛し ヒサ
ツアーカーテン下ろして居間や夏座敷 弘棋