2025年4月定例句会第165回以降


2025年4月定例句会第165回
新月に卵を立てる春深し 雄蕉
霾るや富士山噴火に話飛ぶ 五郎
仁王門くぐれば花の称名寺 あきこ
満開の花吹き上ぐる暴の風 ヒサ
囀りや一樹の中の歓喜かな 啓子
十二色庭にも有りし四月かな きょうこ
五丁目が二丁目を訪う猫の恋 あやこ
喜びと悲しみの風桜ふぶき
生きるとは旅をすること鼓草 弘棋
公園の桜ふぶきや花見酒
ふりかへりまた振り返る花の雲 あきこ
まだ春か双眼鏡の世に余る 雄蕉
春眠の覚めて独りの春愁い 五郎
珈琲にミルクを少し春時雨 あきこ
はらはらと部屋の中まで桜散る ヒサ
花桃の丘に縄文美術館 啓子
桜撮る五指にネイルの樹下美人 きょうこ
待ちわびし見頃ひんやり春の雨 あやこ
入学の仲良しこよし手をつなぐ
吹く風と何を語るや雪柳 弘棋
片吹の柿若葉付き売り物件 あやこ
夜桜やライトアップに魅せられて ヒサ
名残惜し李白も去るか春の宴 雄蕉
不登校児何をふらふら紋白蝶 五郎
満開の桜かがやく空となり あきこ
苦味よし料理さまざま蕗の薹 ヒサ
山北に古武士のような老い桜 啓子
一本の桜見るため時刻表 きょうこ
かなしみにいろあるならば夕桜 あやこ
隣家なく春光入りて空広し
清明やごろん悟りの猫になる 雄蕉
春の日の光ぽとりと落つ窓辺 弘棋
眺め見る人それぞれに散る桜 弘棋
うららかや親子二代の襲名披露 五郎
追ふやうに山のぼりゆく桜かな きょうこ
咲くも良し散るも尚良し花吹雪 啓子
みどりの日すべり発掘昭和の日 雄蕉
共に見し桜に独り佇めり 五郎
何事もなく過ぎて夕桜かな あきこ
夜桜や灯りの中に散り惜しむ ヒサ
アルプスの尾根に刃金の残り雪 啓子
せせらぎをやや狭くして散り桜 きょうこ
しきりなる桜吹雪へ下校の児 あやこ
孫の背やぐんぐん伸びるつくしんぼ
書き割りを抜け出し空に春の雲 弘棋

2025年5月定例句会第166回
お茶漬けを奈良でいただく五月かな 雄蕉
山藤の濃く淡く咲く峠かな あやこ
雲の峰つながる先に戦禍あり
鳥遊ぶ窪みに積もる桜蕊 ヒサ
不可解な五月病とや芥子の花 五郎
色とりどりの若葉あふるる山河 あきこ
住む町に三軒ほどの鯉幟 啓子
春夕や予約叶わぬテラス席
田植え待つ水田にどんと逆さ富士 弘棋
愛なんて不確かなもの卯波立つ なごみ
雨止みぬ鶯庭に鳴き交わす ヒサ
すみれ草古都旧都の道しるべ なごみ
苺香や手のひら嗅ぎて二度楽し
山間の山吹の花ほのかなり ヒサ
混沌の五月の空に宇宙船 五郎
何処より夏鶯や雨あがる あきこ
老鶯や緑の中の句読点 啓子
梢梳き馳せ来る風野は五月 なごみ
青田風今放たれし余生かな 啓子
ネモフィラの優しき青の夏来る
信号を待つ身忘れて初燕
渦潮の鳴門大橋大南風 あやこ
世のために逃げるお金や白芙蓉 雄蕉
梅雨空に窓付く雨を見る子猫 弘棋
議事堂は白河夜船初夏の宵 雄蕉
鋭角に跳ねて狭庭の五月の陽 あやこ
色パズル昭和公園のチューリップ
蔦強く螺旋登り空青し ヒサ
筍の旬を味はふ平和な日 五郎
掘り起こす手に新じゃがの土香る あきこ
坦坦と一人の旅路花は葉に 啓子
四季織のかほり重ねて初ガツオ
初島へ航跡伸びて風光る なごみ
あと少しもうここまでと草を引く あきこ
薫風や竜馬の立ちし桂浜 あやこ
首輪解く犬や躍りて夏の浜 弘棋
老鶯の声や移りて森の奥 弘棋
阿修羅像のひそめし眉や青嵐 なごみ
バナナ食う猿の笑いや仏顔 雄蕉
風薫る樹下に花咲く無駄話
春の宵女神輿のいなせ足袋
白牡丹一途に白を貫きぬ 啓子
風に揺れ木漏れ日に揺れ若楓 あきこ
召物も気配りのうち新茶汲む 五郎
種を蒔く朝日背中に貯めながら ヒサ
万緑の木の香にむせぶ散歩道
独り住む家となりけり姫女苑 五郎
南極が小さくなったと初燕 あやこ
バチカンにのぼる煙や夏広場 弘棋
奈良京に鎌倉初夏の陽は陰る 雄蕉
2025年6月定例句会第167回
屏風絵の滝壺からの叫び声 雄蕉
ノラ猫の肩甲骨や桜桃忌 なごみ
梅もらひ迷ひたりけど煮る事に ヒサ
墓洗ふ故郷匂う夏木立 きょうこ
梅雨晴間ひとりあそびの子がひとり あやこ
黒き線大河のような蟻の列
梅雨入りして青き匂ひの山河かな あきこ
蝸牛牛歩の散歩病み付きに 啓子
蘭奢待飛蝗に名誉食われけり 雄蕉
形代に息を吹きかけ夏越かな 啓子
青絵の具空に溶かして梅雨晴間 弘棋
日本株闇に迷路の梅雨晴間 雄蕉
枇杷剥いて母の笑顔はまんまるに きょうこ
夏時間今日より気合ひ入れ直し ヒサ
メトロ出てギャラリーまでの梅雨晴間 なごみ
紫陽花の咲き誇る道下校の子 啓子
ソーダ水の泡消えるまで人を待つ あやこ
鮎料理言葉はじける四人組
長谷寺に紫陽花濡れて山蒼し あきこ
ただ若葉風に吹かれてをりにけり あきこ
実梅ひとつころがっていく坂の街 なごみ
暮れなずむ山を影絵に梅雨夕焼 弘棋
あじさいの涙か花に雨しずく 弘棋
梅雨もないガザの瓦礫はパンになる 雄蕉
白きシャツ行き交ふビルに夏来たる きょうこ
夏草や団地掃除の鎌を研ぐ ヒサ
園児らの帽子は黄色枇杷実る なごみ
万緑や不動池から銀の風 啓子
囀りの森に正調破調かな あやこ
夕立や犬と共に走る走る
風薫る角の花屋に花あふれ あきこ
万緑すみどりきみどり深みどり あやこ
お揃いの帽子は黄色柿若葉 きょうこ
江戸小町競ふ如しに花菖蒲 弘棋
枯山水見えずつかめず父の日は 雄蕉
あじさいや昨日に続き寺参り きょうこ
黴雨やまず死して三ノ輪の浄閑寺 なごみ
春行くや友の訃報の淋しかり ヒサ
淡い色どきっとする程濃あじさい 啓子
紅二重静かなる町抱きをり あやこ
色路線マップトラベル夏夕べ
バス待ち見上げし笑顔つばめの子
風小さく風の大きく新樹晴 あきこ
藤波やこぼるる花も又愛し ヒサ
ツアーカーテン下ろして居間や夏座敷 弘棋

2025年7月定例句会第168回
梅雨深し昨日も今日も画布の前 あきこ
夕立や子雀揺られ難強し ヒサ
直るとも不治とも思う老いの夏 啓子
猪注意天城峠の万緑裡 あやこ
尾瀬ヶ原木道踏みて水芭蕉
報国寺啜る抹茶やホトトギス
太陽も寝込む晩夏の地平線 雄蕉
炎天に真白き拳選挙カー きょうこ
吹く風のさらりと頬に梅雨の明け 弘棋
若き日の愚か愛おし遠花火 なごみ
日没を待ちに待ちたるホタルかな
手の中ににほひ移りし蛍かな
虹立ちて雨の匂ひのほのかなり あきこ
夕立の上がりしあとの日差しかな ヒサ
晩年は顔施でゆるく蝉時雨 啓子
万緑や小径行く人帰る人 あやこ
国道沿いの運河に西日くらげ浮く なごみ
プランター茄子の花咲く一、二、三
波乗りや遠き野分の浪を待ち
目覚めればこれも人生夏の月 雄蕉
夏草や鎌入れ匂ふ朝かな きょうこ
しみじみと我のはかなさ夏の草 ヒサ
風といふ風を使ひて風鈴屋 弘棋
キャンプの火消えて夜空に星あまた 弘棋
木下闇藪の匂いは不変かな 啓子
花ざくろ花こぼしつつ雨こぼす あきこ
暑気払ひ友と三人終語る ヒサ
青山河玉音聞いた日も在りし 啓子
雷に話の腰を折られけり あやこ
プレーする子等を見守る合歓の花
南風受けて沖でたわむる真帆片帆
土用波たたき続ける五大陸 雄蕉
野球帽総身に汗とプライドと きょうこ
海と空分ける境に三角帆 弘棋
負われ見しは幻蒼き誘蛾灯 なごみ
路地裏に蚊遣りとカレーの香る宵 なごみ
四国なら山のふもとの御来迎 雄蕉
雨しづくためて美しくもの糸 あきこ
車窓這う箱根峠の霧深し あやこ
爪染まる濃き梅の実の重ならず きょうこ
大花火ハマの夜景を借景に あやこ
朝陽背に狭庭の散水虹立ちて
間に合へとダンベル取りて海開き
人間を懲らしむ哭ける極暑なり 雄蕉
夏鶯聴けば聴くほど遠からじ きょうこ
鬼灯の朱に交はりて赤き市 弘棋
隧道に吹き込む白雨喪の車列 なごみ
青山を引きよせて梅雨明けにけり あきこ
衣替え子のジャージで夏草履 ヒサ
夏木立触れる空気は別世界 啓子
2025年8月定例句会第169回
失せものを探しあぐねて秋暑し あきこ
紫陽花や命輝く雨一日 ヒサ
住み人無く雀と戯る猫じゃらし
草木無く遊ぶ原っぱ八月十五日 きょうこ
背は孤独手花火燃やす君も吾も なごみ
盆唄を耳に残して三々五々 啓子
骨なべて力を持たず油照り あやこ
騒がしや香の声聴く秋ひとり 雄蕉
旅に立つ揚羽や送る飼育箱 弘棋
パンドラの箱の報いか原爆忌 弘棋
四十度怒涛の如き炎暑かな 啓子
ざぶざぶと皿洗ふ八月の朝 あきこ
京五山あまねく死者の魂送り 啓子
八月の御巣鷹山の茜雲 あきこ
朝の庭十薬の香身に沁みつ ヒサ
秋驟雨声も届かぬひとしきり きょうこ
蝉時雨声を限りに空青し
八月やとりわけ深く祈る月 啓子
油照り煎られ炙られバスを待つ なごみ
夕刻の風謳歌して風の鈴 あやこ
終戦記念日餓死のニュースに眼を閉じる 雄蕉
人よりも猛暑の溢る街の中 弘棋
秋の陽に融けるわが身の無限小 雄蕉
肩ぐるま葡萄一房の重さあり きょうこ
くねくねと夏バテの文字書いてをり あやこ
蝉の声消える雨音突き刺さる 雄蕉
右左引っ張り合いて終戦日 弘棋
秋光や阿吽の形の裾衣 きょうこ
手花火を囲む笑顔と歓声と あきこ
いち早く作る茄子馬盆の入り ヒサ
にんげんに塩ふりかけて炎帝燃ゆ あやこ
乾杯と笑顔誘いてビールかな
終戦日平和祈りて鳳仙花
夏の宵赤い巨星のロマンかな 啓子
ホモサピエンスは戦いが好き敗戦忌 なごみ
えのころの揺れて川風生まれけり あきこ
暑気払いいつもの店で鯵タタキ ヒサ
かくまでも汗美しき甲子園 あやこ
アメリカの野分日本の白い風 雄蕉
蝉の声しみいる森の奥社 弘棋
姿見に映る月日の衣替え
みんみん蝉夢候やと謡いおり なごみ
宴終え移ろう日々や鰯雲 きょうこ
背丈刻む茶の間の柱盆の家 なごみ
赤紫蘇の色鮮やかな自家ジュース ヒサ

2025年9月定例句会第170回
灯を消せばひとつふたつと遠花火 あきこ
峠越えて古都に至れば風は秋 なごみ
芋虫の一途に庭を走りきる 五郎
月出でて来た見た勝った甲子園 雄蕉
山の尾根重なりあうて芒道 啓子
秋風や介護車目立つ長寿笑み ヒサ
白毛門雷鳴轟き耳塞ぐ
敬老の日や着衣のゴムを締め直す 五郎
文月や「かしこ」と結び古切手 きょうこ
伸びていく飛行機雲や秋高し あやこ
打つ手なしそれが現実鳥威し 雄蕉
汗の玉コロコロコロと流れ落つ
虫の音に暮色加へし家路かな 弘棋
こすもすの揺れて色濃し風の丘 あきこ
寝返れば窓に月食秋暑し なごみ
思い出す地球の味方月見酒 雄蕉
川蝉やゆるりと飛んでくれまいか 啓子
秋天へ一直線の飛行雲 ヒサ
時代かな虫の声さへ控えめに 五郎
秋刀魚焼くスダチ到来あとは猪口 きょうこ
大花火幕間は空を拭く時間 あやこ
蜻蛉もベンチにほっと遊歩道 弘棋
柿の実を十ほど落し嵐去る きょうこ
坂上る青息吐息秋夕焼
足音のきのふとちがふ今朝の秋 あきこ
新涼や古都散策の誘いくる なごみ 
官邸で新米食べよブルータス 雄蕉
銀漢や特攻語る千氏逝く 啓子
デジタル化迷路に入りてそぞろ寒
上げ花火余韻残して果てにけり ヒサ
誰彼の声の透けくる秋簾 五郎
一筋の道程はうしろに糸瓜忌 きょうこ
売れ筋のそうめん南瓜道の駅 あやこ
採れたての秋を並べて道の駅 弘棋
初秋の真白き皿に魚を盛る あやこ
炎天や友と電話で癒し合い ヒサ
呼びかけに振り返ればただ秋の風 なごみ
大花火果てし静寂の闇淋し あきこ
係留の廃船運河に夏果てず なごみ
芸に生き雲外蒼天秋扇 きょうこ
モスクワで偲ぶ京都の菊月夜 雄蕉
甲冑を飾る湯の宿秋の月 啓子
秋の虹希望と不安のやじろべえ
介護費の嵩む齢やこぼれ萩 五郎
今朝の風秋を運んで来りけり ヒサ
高原に群れてしづかや赤とんぼ あやこ
母の忌の遺影にひとつ好きな梨 弘棋
身にまとう残暑流すや風呂シャワー 弘棋
山梨に龍太の生家露けしや 啓子
爽やかや棒高跳びのポール白 あきこ
2025年10月定例句会第171回
山間を流れて霧の丹沢湖 弘棋
いたわれつふと寂しさや敬老日 ヒサ
光背はススキとなりて地蔵尊
待つ宵のいつしか思ふ人の顔 五郎
こほろぎの今宵の声の孤独らし きょうこ
めぐり合い時の運なり新酒かな 雄蕉
最終戦敗るる人に小望月 五郎
名月を供連れとなしソロキャンプ
角皿に美しき骨秋刀魚食ぶ あきこ
曼殊沙華深紅に染めし巾着田
天の川虚空を辿る道標 啓子
弁当の旨味引き立つ柿の色 雄蕉
コンパスと三角定規天高し 五郎
木漏れ日のさゆらぐ池の水は秋 あきこ
秋刀魚積む貨車の軋みの遠くなり きょうこ
ひんやりと身にしむ風や秋袷
秋暑し友の墓へと形見付け ヒサ
本栖湖に色なき風や富士に雲 啓子
初秋刀魚焼くや厨へ駆ける猫 弘棋
秋の空飛行機雲は天も割き
這へ登るポロポロこぼる零余子かな ヒサ
叱られて見上げる空の赤とんぼ あきこ
秋尽きる石碑ひとつの羅城門 雄蕉
貼り替えてこその明るさ白障子 啓子
真心をちゃりんと音に赤い羽根 弘棋
秋入日切り絵となりて伊豆の山
永遠の中の一瞬鰯雲 啓子
秋うらら見学忙し文化祭 ヒサ
あやとりの車中の父子の昼の秋
一筋の畔に一筋曼殊沙華 きょうこ
紫に遠嶺暮れて花芒 あきこ
雨上がる秋の黄蝶の舞出づる 五郎
鎧着る枯葉模様のトランプカード 雄蕉
大空へ捩じれて太し大銀杏 弘棋
新蕎麦の老舗の梁の黒光り きょうこ
名月やビルの明かりは消えもせず
静かさや空を占拠の鰯雲
恙なく終える安堵や夜の秋 啓子
窓越しに見ゆる景色ゃ木染月
筆ちびりかすれし文字や暮の秋 ヒサ
音もなく草木を濡らす秋の雨 あきこ
陽だまりを右に左にこぼれ萩 きょうこ
訳ありや今年の秋刀魚観られてる 雄蕉
ふと降りてみたき駅あり鰯雲 弘棋
人影の消えて自由に秋の潮 五郎










2025年11月定例句会第172回
学友は大方鬼籍秋深む 啓子
ラッピング黄葉に染む半纏木
鈴なりの柚子を数へて百あまり あきこ
見て読んで整理進まぬ夜長かな ヒサ
立ち止まる我と我が影望の月 あやこ
吊革に並ぶ拳や冬の朝 弘棋
食卓に赤のクロスや冬来たる 雄蕉
落ち葉して大樹はやがて銘木に きょうこ
紅葉葉や樹間にのぞく富士は白
鎌倉道もみじの中に富士が見え 誠作
後悔の埃を浄め初時雨 雄蕉
草むらに日ざしのゆれて冬うらら あきこ
人里に熊現はるや猟人老ゆ 五郎
炊き方のポイント示し今年米 五郎
秋風に呼ばれて常の散歩道 啓子
御命講総理の強さ励まさる ヒサ
秋の田や童はそろり鎌を引き
軒下に枯葉ぶらさぐ旅の駅
落ち葉ふみ秋が盛りの鎌倉道 誠作
湯豆腐に箸くぐらせる赤き爪 きょうこ
高貴なる御飯を崇め食物月 雄蕉
落葉散る広場を一路ゴッホ展 弘棋
路地行けば塀をこぼるる小菊かな あやこ
湯豆腐に眼鏡曇りて崩れ落つ ヒサ
遠山は薄日わたりて冬すみれ あきこ
黄葉の煌めく一本天を突く
盛装の行きはよいよい七五三 五郎
出会い又別れる縁木の実降る 啓子
身にしむや誰にも会はぬ日の増えて あきこ
語り好き酒好き五人夜長かな
もてなしは里の新米きりたんぽ ヒサ
秋航の右前方に竜飛崎 あやこ
ほっこりと陽に包まりて日向ぼこ 弘棋
旗を振る歴史の迷路神楽月 雄蕉
電線の無き街飛べり冬雀 きょうこ
松茸が出る山に熊が出る 誠作
着古して終活遠き冬セーター きょうこ
秋景の揺らぎ逆さに湖の彩 あやこ
黄葉の一途な景色捨て難く 啓子
秋日和肩を並べる老馬かな
柿熟るる鳥の行動見守るのみ 五郎
地に戻る物の安らぎ秋の山 啓子
午後からは雲のかげりて山に雪 あきこ
娘の拾ふ銀杏も入れ茶碗蒸し ヒサ
朝陽さす霧透けて見ゆ大樹あり
外ポケットに紅葉いちまい旅鞄 あやこ
ドアノブの手にひんやりと冬来る 弘棋
年金は除く無情の勤労感謝 雄蕉
うすら寒湯船でうなる演歌かな
慣れし道冷たき風を今朝に知る きょうこ
リスナーの送る動画で紅葉狩り 誠作
霜月になっても半袖小学生 誠作
道落葉風吹き描くモザイク画 弘棋
音高く落葉踏みしむ散歩道
天気図の縦じまに泣く冬の庭 五郎
2025年12月定例句会第173回
落葉掃き大木見上げ明日又ね ヒサ
五次元の関数を生き年の暮 雄蕉
木の葉散り友禅模様に染まる坂
想ひ出の片手袋のすてられず きょうこ
秋深しすすきブタ草すみ分ける 誠作
短日の庭師の午後は正念場 啓子
風立ちて木の葉しぐれとなりにけり あきこ
またひとつ宛名が減りて賀状書く
いつ帰ると妻の声聞く年の暮 五郎
旅人を乗せるものなし冬の朝 雄蕉
吹く風の哀歌か夜の虎落笛 弘棋
立ち姿際立つもみじなまめかし 啓子
母縫いし半纏ぬくし母を着る きょうこ
片吹に集う子等の臼の音 誠作
暮れ早し写真整理は未だ半ば 啓子
空と雲山三色に冬景色 弘棋
万両や気づけば庭は無両なり
水鳥に何を思ふや眺め人 弘棋
街路樹の落葉風うけバレリーナ 誠作
凶作の木の実が熊を眠らせず 五郎
行く秋や一人身同志長ライン ヒサ
生家より婚家の久し落葉掃く あきこ
送り出て待宵月を仰ぎけり ヒサ
沈む日に背中を押され大掃除 雄蕉
書き損じ半紙散乱年の暮
廃屋の庭に寒梅主いずこ 誠作
新聞をゆっくりたたむ冬日和 あきこ
クリスマス今年も楽し食事会 ヒサ
晩成や片目で生きる年暮れる 雄蕉
足早に行き交う人や冬来る
小さめの聖菓にナイフ正座して きょうこ
着ぶくれて待合室は皆無口 啓子
吐く息を遊びとなして寒の晴れ
骨粗鬆症の足を引きずり十二月 五郎
珈琲を挽く香に目覚む冬の朝 弘棋
制服で答え合わせや冬苺 きょうこ
富士見えて片雲もなし冬日和 あきこ
漱石忌デイサービスに身を託す 五郎
降り注ぐ落葉の中に暮らしけり あきこ
積読の読書にふける夜長かな ヒサ
年ごとにわが身は細る除夜の鐘 雄蕉
ユリの木や風を誘いて冬の歌
枯るる木に残る実一つ震えをり きょうこ
早逝の子話しかける冬の星 誠作
真冬日や六腑にしみる朝の白湯 啓子
白息の長きを競ふ通学路
人は皆裏表なく踏む落葉 弘棋
こする手で分けるのれんや冬の星
土手に咲くつわぶきの花父の愛
山眠る庭木も眠る構えして 五郎

2026年1月定例句会第174回
本栖湖の年賀ネッシーダイヤモンド 雄蕉
飛ぶ鳥も燃やすか空に初茜 弘棋
火の気無きドアを開ければシクラメン
寒き夜や餅を入れたるポトフ食ぶ ヒサ
獅子頭玄関におわし客を待つ
買い初めのパンの香りに包まれて あきこ
初春や老いの歩幅で浮世旅 啓子
初場所や力余りて砂を噛む 五郎
初夢の思ひ出せぬや齢かな きょうこ
平潟を後に澪行く太公望 誠作
冬麗の放つ大気の美味さかな あやこ
整いし庭先に立つ淑気かな あやこ
年賀状スマホ動画で届きけり ヒサ
白米をゆるり噛みしむ四日かな
初夢や世界はひとつ欠片散る 雄蕉
初富士の峰すっぽりと大鳥居 弘棋
除夜の鐘鎮守の森の砂利の音
冬の夜の読書に孤独癒さるる ヒサ
朝朗け早足の吾子息白く
街の灯を見渡す寺の除夜の鐘 あきこ
ひい婆はひい孫達にお年玉 啓子
六十余年の暮らし終えたり去年今年 五郎
初春や一歩の確かさ杖の音 きょうこ
除夜の鐘かがり火集う称名寺 誠作
新春の光束ねし巫女の髪 あやこ
昭和百年超ゆる朝の寒卵 五郎
大方は足りて満足老いの春 啓子
アマテラス伊勢の首相の長勤務 雄蕉
篝火の爆ぜし静寂や除夜詣 弘棋
押されても譲れぬ願ひ初薬師
年新た今年の一句短冊に ヒサ
柚子風呂や心と躰ぽかぽかと
降りしきる落葉を踏めば森の音 あきこ
大いなる山静まりて熊眠る 啓子
新しき句帳開きし三日かな きょうこ
ユニセフの見つめる瞳師走来る 五郎
地吹雪を味方に走るバスツアー きょうこ
若水で清め迎える初日の出 誠作
故郷に母在りし日の芋の餅 あやこ
おせちにも我が家の顔も色もあり きょうこ
風もなく物音もせず霜の庭 あきこ
手の平の冬を温める和菓子店 雄蕉
三万の日をつなぎ来て去年今年 啓子
元旦や今年のナマズ正一位 雄蕉
親見つむ目にはきらりと成人日 弘棋
ほろ酔ひの飲む手を止めし除夜の鐘
実南天小鳥の餌となりにけり ヒサ
テニスボール孫と打ち合う二日かな
渾身の力を溜めて冬木立 あきこ
着ぶくれて格別重き日記果つ 五郎
粥食べて散歩で出会う仏の座 誠作
めでたさを賽の目に切る雑煮餅 あやこ
老二人淋しく暮れる三日目 誠作
初雪はふわりふわりと舞いにけり
心待つ友の賀状に知る安否 弘棋