2024年4月定例句会第153回 |
教会にバロック流る春の午後 |
弘棋 |
故郷の風土の匂い蛙鳴く |
五郎 |
木の芽吹く風はきみどりうすみどり |
あきこ |
青空に音符のごとく飛花落花 |
あやこ |
打つ雨に流るる景色春惜しむ |
五郎 |
遠山の白き点描山桜 |
あきこ |
雨しずくまとひて今朝の桜かな |
あきこ |
春野菜光も共にたしなみぬ |
ヒサ |
蕗味噌をつけて旨しや焼にぎり |
ヒサ |
東京湾船の銀座か風光る |
啓子 |
春場所や幕尻まさかの優勝旗 |
啓子 |
木の間より囀りこぼる四分音符 |
春 |
接木して遠き実りを夢みつつ |
春 |
絨毯を黄色に敷きて花菜畑 |
弘棋 |
菖蒲咲く声を落とすや琵琶法師 |
雄蕉 |
五月晴れ籠もるゲームは国家なり |
雄蕉 |
香る葉もいい塩梅に桜餅 |
弘棋 |
引き留める術なく桜北上す |
あやこ |
片吹の風吹き落とす実梅かな |
あやこ |
究極の囀り山に谺して |
きょうこ |
ランドセル背中をはみだす春の陣 |
きょうこ |
摘み花と云う大仕事あり桃の花 |
啓子 |
入学の待ち遠しくてランドセル |
五郎 |
花に酔ふこの倖せをとこしえに |
五郎 |
藤棚にむらさきの風吹きぬけり |
あきこ |
風に揺れ光に揺れて雪柳 |
あきこ |
夜桜や灯に光る雨の粒 |
ヒサ |
行く春や友の船旅今いずこ |
ヒサ |
桃の花甲斐の盆地に色を添え |
啓子 |
黄砂降る遠山靄にかき消され |
啓子 |
車窓より見ゆる菜の花黄金色 |
春 |
はらはらと千鳥ヶ淵の花筏 |
春 |
夏来たる祇園の鐘を聴く夜かな |
雄蕉 |
モナリザはにっこりビール飲めという |
雄蕉 |
捩花の捩じり余せしうすみどり |
あやこ |
鶯の読む経聴きて山の寺 |
弘棋 |
空塞ぐほどの大樹の芽吹きかな |
きょうこ |
新緑の真っ只中にケアホーム |
あやこ |
故郷の訛無くなり啄木忌 |
きょうこ |
柔らかき陽射し集めて春キャベツ |
きょうこ |
春疾風佇めならず千鳥足 |
ヒサ |
沙羅双樹咲かぬ女の笑顔かな |
雄蕉 |
清明や新調スーツ初々し |
五郎 |
西方の父母の面影彼岸かな |
春 |
見る人に心たゆたう花筏 |
弘棋 |
|
|
|
|
2024年5月定例句会第154回 |
黒く塗れ白紙の地図にガザの夏 |
雄蕉 |
鯉のぼり空飛ぶ車見当たらぬ |
雄蕉 |
新緑を屋根にし登る観音堂 |
きょうこ |
梅の実の主なきとて巫女の手に |
きょうこ |
露寇にも耐えて今年も麦の秋 |
弘棋 |
富士山を切り取り初夏の写真帳 |
弘棋 |
まさをなるエニシダ垂るる路地裏に |
ヒサ |
母の日や子等の招きに装いて |
ヒサ |
額の花年が重荷となり始む |
啓子 |
白玉のそのやわらかき噛みごこち |
啓子 |
鳥帰る一天の青翳りなし |
あきこ |
薫風や馬駆けてくる草千里 |
あやこ |
岩魚串泳ぐ姿に焼かれをり |
あやこ |
たんぽぽの絮飛び立ちて夢無数 |
春 |
谷川岳帽子飛ばして夏疾風 |
春 |
半袖に代へる決断夏蝶来 |
五郎 |
草笛や故郷に続く茜空 |
五郎 |
南風を行くサイレンもしや誰ぞ逝く |
あやこ |
春日より断捨離急ぐ日々なりし |
ヒサ |
香水をつけるでもなく我に買ふ |
きょうこ |
師の文字の強き筆圧麦の秋 |
啓子 |
翡翠の掠める水の光りけり |
あきこ |
宮中を狙う雷雲の淵 |
雄蕉 |
面智男雲を読み解く愉悦入道雲 |
雄蕉 |
夏蝶の影にまとわりて遊歩道 |
弘棋 |
空豆の届き友の走り書き |
きょうこ |
夏空を見たくてジャンプ池の鯉 |
きょうこ |
森の香を包みてほのか柏餅 |
弘棋 |
生家とは親と居た場所蝉の穴 |
啓子 |
いかなごのくぎ煮名人偲びけり |
ヒサ |
頂きしメスの筍美味なりし |
ヒサ |
とりあえず今日の平穏新茶汲む |
啓子 |
山法師咲かせて肥後の老老舗 |
あやこ |
茂りより緑の風や頬を打つ |
春 |
読書にも飽き誰も来ず夏の昼 |
春 |
滴りを集めて溢る露天の湯 |
あやこ |
何もかも伸びるのびるよ五月来る |
五郎 |
母の日も忘るる母に届く花 |
五郎 |
蟻の穴二つ三つあり姿どこ |
春 |
盛り上がる新鋭力士五月場所 |
五郎 |
老鶯の声も景色と見る眺め |
弘棋 |
タマネギを剥いて残りし者なりし |
雄蕉 |
降り続く雨に蕗煮るうすみどり |
あきこ |
満開の杜鵑花の空の日の光 |
あきこ |
野茨の匂ひてあまき風の中 |
あきこ |
|
|
|
|
2024年6月定例句会第155回 |
緑陰や風のあとまた水の音 |
あきこ |
春惜しみつつ人生を楽しまん |
ヒサ |
巡礼のきびしさに耐ふる春遠し |
ヒサ |
懸命のゆっくりなんですかたつむり |
あやこ |
田植えする児等の奮闘未来あり |
きょうこ |
降り続く雨に植田の濁り初む |
五郎 |
時の日の手錠のごとき腕時計 |
あやこ |
渋谷から夕蝙蝠の轟や |
雄蕉 |
迎え火も悪行なりや卑弥呼さま |
雄蕉 |
守宮の子張りついたまま夜の窓 |
啓子 |
バグパイプ響く異国はばらの頃 |
啓子 |
夏野へといざ出発と草刈機 |
春 |
さしあたりどくだみの花花瓶に |
春 |
あじさいの融通無碍や禅心 |
弘棋 |
駅募金ちゃりんと能登へ響く夏 |
弘棋 |
太陽に砂粒光る夏の浜 |
弘棋 |
ここまでとけふの日課の草を引く |
あきこ |
万緑や百メートルを十秒で |
あきこ |
怪人がうろうろ空き家増えし夏 |
雄蕉 |
リハビリに選びし径は夏木立 |
五郎 |
ほたるいか目と目が合いてにらめっこ |
ヒサ |
あじさいのどの花びらもルノワール |
きょうこ |
口利きの無き日のありや夏の月 |
五郎 |
風に咲くマーガレットの白い波 |
あきこ |
夕風にさそはれ烏瓜の花 |
あきこ |
友を待つ柏餅香を放ちけり |
ヒサ |
打ち寄する波春光を放ちつつ |
ヒサ |
あじさいの好きな娘も嫁ぎけり |
きょうこ |
夏うぐひす今日を限りか声しきり |
きょうこ |
梅雨の月まるくふやけて昇りけり |
あやこ |
ピースてふバラ揺れ止まず戦火かな |
あやこ |
蛇の尾の草葉にすべて消ゆるまで |
五郎 |
どんと据わる白紫陽花花の力かな |
五郎 |
赤道の夏を引き寄せ白幽子 |
雄蕉 |
生類憐み野焼き禁止の草を刈る |
雄蕉 |
万緑の中に小田原城下街 |
啓子 |
縄文に十薬あったかも知れず |
啓子 |
夏蝶を追うまなざしや園児達 |
春 |
緑陰の木々の揺らぎや渡る風 |
弘棋 |
せせらぎに水車木道花菖蒲 |
弘棋 |
山法師恩師と巡る鎌倉寺 |
春 |
掌に一粒の紅さくらんぼ |
春 |
天守より落城偲ぶ夏の雲 |
啓子 |
喉満たしボトルを満たし岩清水 |
あやこ |
時の日や役場のメロディー五時丁度 |
きょうこ |
|
|
|
|
|
2024年7月定例句会第156回 |
冥府までデジタル切符閻魔王 |
雄蕉 |
じいじいと蝉に言はれて知る齢 |
弘棋 |
漆黒の光の小径富士登山 |
春 |
畳の間古き扇風機昭和の人 |
きょうこ |
度忘れも茶番となりて梅雨明ける |
啓子 |
炎天や自前水分ラッパ呑み |
五郎 |
山法師汀に影を灯したる |
あきこ |
藪入りや柳行李の母の衣 |
あやこ |
補助輪を外しふらつく夏休み |
春 |
織姫逃げる超新星のベテルギウス |
雄蕉 |
成仏はお預け閻魔嘆くなり |
雄蕉 |
風鈴の音色かそけし風の詩 |
弘棋 |
夏蝶の風に戻され操られ |
きょうこ |
片陰もない昼の坂登りきる |
啓子 |
鮎寿司を父と味わふ夕の膳 |
春 |
梅雨明けや高まる雲のたたずまひ |
五郎 |
どの家も窓開けてあり梅雨晴間 |
あきこ |
岩清水右手左手喜ばす |
あやこ |
父の日よ戦後の苦労今切に |
啓子 |
海はもう見るだけのもの夏休み |
綾子 |
銀河行く冥途の列車まだ土星 |
雄蕉 |
海の日といえども乙に山歩き |
弘棋 |
平和といふ線香花火の儚さよ |
きょうこ |
クラス会老ひを背負えし夏帽子 |
春 |
サックスは遺品となりぬ婿の盆 |
啓子 |
炎帝の怒り太陽のフレアかな |
五郎 |
青空に開く泰山木の白 |
あきこ |
身の内の怖さ金魚を追い詰める |
あやこ |
御仏の伏目やさしく百合の花 |
藤枝 |
ささやかなことがしあわせさくらんぼ |
あきこ |
雪残る夏山遠くテント張る |
きょうこ |
炎天や木陰の鴉口を開け |
五郎 |
備前焼白百合の白際立てり |
きょうこ |
初蝉やあっという間ににぎにぎし |
春 |
住み古りし家の安らぎ蝸牛 |
啓子 |
その角を曲がれば光る夏の海 |
あきこ |
海鳴りの届く縁側心太 |
あやこ |
炎天や海広々と水の星 |
五郎 |
とりあえず先ずはビールと閉ずメニュー |
弘棋 |
冥途旅故障発生月止まり |
雄蕉 |
片陰に入りて無となり己が影 |
弘棋 |
|
|
2024年8月定例句会第157回 |
夏五輪光織りなすエッフェル塔 |
五郎 |
片陰をひろひて皆一列に歩む |
ヒサ |
みちのくの曳山ひいて秋の空 |
きょうこ |
断簡の筆文字光る宵の月 |
雄蕉 |
百日紅けだるき日々に色を添え |
啓子 |
暮れなづむ空美しや星祭 |
あきこ |
片陰を探し探して移り行く |
春 |
秋暑し俥夫の背中や古都の風 |
潜 |
武器持たぬ誓いは何処終戦日 |
弘棋 |
行く人の傘をおちょこに台風過 |
弘棋 |
円安の淵の日本や月通る |
雄蕉 |
宇宙への夢を広げる星祭 |
五郎 |
十代のメダリスト増ゆ雲の峰 |
五郎 |
カッカと又トマト好きのリス親子 |
ヒサ |
母の声冷やし西瓜や井戸の中 |
春 |
到来の桃の蘊蓄卓の上 |
きょうこ |
身の丈に合う寄合や村の月 |
雄蕉 |
八月や不戦を信じ祈る月 |
啓子 |
対岸の安房の灯近し星月夜 |
あきこ |
静寂やつまむ花火の落ちるまで |
潜 |
聖火台空に浮かびて夏五輪 |
弘棋 |
朝顔の明日咲く色のほのかなり |
あきこ |
散水時一人虹見る朝の庭 |
春 |
生きものに危険な暑さ今日も又 |
啓子 |
米を研ぐ手に新涼の水走る |
あきこ |
秋立つや風にうなずく庭の花 |
弘棋 |
初蝉や止まる窓辺の馬鹿笑い |
潜 |
逝きし人皆微笑みて銀河濃し |
啓子 |
絵すだれの間々に風受く八百屋かな |
ヒサ |
家の周り集まるゴミも晩夏かな |
五郎 |
買い物の袋どさりと猛暑かな |
ヒサ |
天の川光流るる富士の山 |
春 |
老二人とぎれぬ会話月見豆 |
きょうこ |
虫すだくあこち浮かぶ無力感 |
雄蕉 |
手に負えぬ雑草に脱帽終戦日 |
きょうこ |
語り部の記憶をつなぐ蝉しぐれ |
潜 |
ぶぶ漬けを出すも居座る残暑かな |
弘棋 |
底紅の閉じて暮れ行く空の色 |
あきこ |
子規の忌や健啖ぶりの切なかり |
啓子 |
月上がる先祖話で盛り上がる |
雄蕉 |
墨の濃き卒塔婆かかへ施餓鬼寺 |
きょうこ |
じりじりと気温上げゆく蝉の朝 |
五郎 |
座禅のごと泰山木の花開く |
春 |
しゃぶしゃぶの真青に踊る新若布 |
ヒサ |
聞けば忌み聞かねば思ふ蝉の声 |
潜 |
|
|
|
|
2024年9月定例句会第158回 |
朝刊のにほいに目覚む秋の風 |
きょうこ |
大和路の旅ゆく人も秋の貌 |
雄蕉 |
天空に魚探欲しきやいわし雲 |
潜 |
子規の顔似てずっしりと洋の梨 |
弘棋 |
散歩道あゝ秋だよと風流る |
春 |
梢みな月の光にとけゆけり |
あきこ |
プレイバック稲穂波立つ休耕田 |
きょうこ |
夫呼ばむ窓いっぱいに月昇る |
あやこ |
実り供え見上げて拝し月見宴 |
ヒサ |
蝉しぐれ日増しに終の声ひびく |
ヒサ |
草に木に我にも残る暑さかな |
あきこ |
みちのくの棚田へ降りる月の脚 |
あやこ |
夏休み明けの挨拶歯の白く |
五郎 |
武士の安堵の一瞬や萩の寺 |
きょうこ |
墨擦りて料紙に向かう良夜かな |
春 |
秋風や瓶に足されしシーグラス |
潜 |
魚跳ねて波紋や一つ秋の水 |
弘棋 |
柿の種植へて余生の道しるべ |
潜 |
うまい声テレビを消して秋の夜半 |
雄蕉 |
秋の夜や暴走族の音止まず |
ヒサ |
水色の空に一刷毛秋の雲 |
弘棋 |
画廊出て角を曲がれば風は秋 |
あきこ |
秋時雨信号待つとりどりの傘 |
ヒサ |
娘の背には追ひつかぬ声大花野 |
きょうこ |
天上は涼しからむに先祖来る |
あやこ |
設へは心ばかりの月見かな |
五郎 |
秋の空夕陽と遊ぶ明日は晴 |
春 |
金泥の折り目ふやけし秋扇 |
潜 |
客船の大桟橋や今日の月 |
弘棋 |
流れ星夢から聴いた天の声 |
雄蕉 |
涼一献厳禁解けし亡父に注ぐ |
あやこ |
落ちついた昔の顔や秋深む |
雄蕉 |
秋の蝶後先となり山ガイド |
春 |
秋陽射し大樹は影を伸ばしゆく |
きょうこ |
海風の博文旧居紫苑咲く |
あきこ |
偉大なるもくもく迫る入道雲 |
ヒサ |
風の音共鳴の音秋の鈴 |
あやこ |
常夏の国に列すかこの秋暑 |
五郎 |
芒原をかき分け進む迷路かな |
春 |
蜩も景色となりて茶の湯かな |
潜 |
子規庵の庭訪ふ人や糸瓜棚 |
弘棋 |
俳画付き掛け軸無くて秋の暮 |
雄蕉 |
月明りを穢し砲火の飛び交へる |
五郎 |
いつまでも手元放せず秋団扇 |
五郎 |
身に入むや灯すも消すもひとりの夜 |
あきこ |
|
|
2024年10月定例句会第159回 |
木漏れ日に揺れて水引草の紅 |
あきこ |
新米や故郷の漬物よき合性 |
五郎 |
放課後のような老後に花野あり |
啓子 |
くずし文字読めぬ便りや秋惜しむ |
春 |
角曲がるもいちど月を見て曲がる |
あやこ |
朝食に庭の秋菜を補いぬ |
ヒサ |
故郷を忘れじ鮭の眼かな |
きょうこ |
好き嫌い選挙は罪に破れ蓮 |
雄蕉 |
来し方は泡沫なれど今朝の秋 |
啓子 |
リュック背に歩く野山を秋の声 |
弘棋 |
夕風にそよぐ芒や憩ひけり |
ヒサ |
暮れのこる空のみづいろ酔芙蓉 |
あきこ |
月影にはて空耳かドビュッシー |
弘棋 |
火の手のごとく紅葉迫る鏡池 |
あやこ |
当世も餅は手打ちか月うさぎ |
弘棋 |
臭覚に安らぐ心金木犀 |
啓子 |
広島にどんとノーベル平和賞 |
雄蕉 |
天高し雲に形あり名もありて |
きょうこ |
読経のこぼるる寺や秋立ちぬ |
ヒサ |
庭に出す猫脚の椅子月今宵 |
あやこ |
髪染めし八十路の心星月夜 |
春 |
異常なき診察結果後の月 |
五郎 |
蜩や夕べやさしく来てをりぬ |
あきこ |
さはやかや五十五十の新記録 |
あきこ |
秋萩の梢揺らしつ渡る風 |
春 |
束として死のある国よ望の月 |
あやこ |
焦げるほど丸裸なり今日の月 |
五郎 |
朝のうち草取り急ぐ老一人 |
ヒサ |
ナナカマド乗り合いバスの窓ふるる |
きょうこ |
世渡りはさらりと交わす文化の日 |
雄蕉 |
秋高しそろそろ遺影決めようか |
啓子 |
足一本案山子や打ちげ本塁打 |
弘棋 |
浦島を呼び込む女冬近し |
雄蕉 |
青春と一夜の夢と曼珠沙華 |
春 |
朝寒やまづ湯を沸かす厨ごと |
あきこ |
中東に火柱絶えずそぞろ寒 |
五郎 |
箱根路の淑女三人宿の秋 |
春 |
一面のこぼれ萩満つ空家かな |
ヒサ |
細く長く棚田を区切る彼岸花 |
あやこ |
街燈の先の足早秋の暮 |
きょうこ |
尽きぬとも俳句の縁の夕紅葉 |
雄蕉 |
露けしや関谷不動の水の音 |
啓子 |
谷間の山家にひとつ秋灯し |
弘棋 |
カタカナの葡萄の粒の甘さかな |
きょうこ |
秋暑し母の唇濡らしゐる |
五郎 |
|
|
|
2024年11月定例句会第160回 |
仰ぎ見る塔の高さや冬日和 |
あきこ |
取り出だす冬服選ぶ温暖化 |
春 |
頂きし富有柿子等とうまかりし |
ヒサ |
上州路記憶に残るぶな紅葉 |
啓子 |
運命の冬敲く匙無き政治 |
雄蕉 |
木枯しの過ぐるを待ちて雨戸開け |
きょうこ |
水鳥の滑る縮緬銀波かな |
五郎 |
同郷を誼む蜜柑に有田皿 |
弘棋 |
枯枝をおろす夫の背冬の蝶 |
きょうこ |
人込みを小さき熊手とすれちがふ |
あきこ |
やはらかな日ざしにゆれる枯野かな |
あきこ |
秋展やマウスアートの紅沁みる |
ヒサ |
神無月若き血潮の学園祭 |
春 |
秋澄むやどこかで戦血の匂い |
啓子 |
チェロの音で愛のダンスの小春日和 |
雄蕉 |
神木のざわざわざわと神の留守 |
五郎 |
母似なる人とベンチで日向ぼこ |
きょうこ |
山頂で観る山並みの夕紅葉 |
弘棋 |
台風の眼に目を凝らす予報かな |
弘棋 |
今年米炊いていただく至福かな |
啓子 |
木漏れ日の谷戸に落葉降りやまず |
あきこ |
夕食に一味優るスダチかな |
ヒサ |
枯葉に一筋の風添えにけり |
春 |
仁王門くぐれば古寺の大銀杏 |
啓子 |
バイオリンエフ字孔から冬茜 |
雄蕉 |
初雪や地球に訳あり百三十年 |
きょうこ |
黄落後神経系のやうな枝 |
五郎 |
人波にもまれ漂ふ熊手かな |
弘棋 |
寄せ鍋のスクラム解かぬ榎茸 |
五郎 |
老いてなほ気づくこと多し秋の暮 |
ヒサ |
対岸の灯火かがやく冬の暮 |
春 |
寒暖の秋クローゼットの入れ乱れ |
ヒサ |
侘助やしずかに夕べきておりぬ |
あきこ |
行楽はテレビで済ます老いの秋 |
啓子 |
無精ひげ生やす黙ってラグビーファン |
雄蕉 |
様々な落葉踏む音様々に |
きょうこ |
足腰に弱み抱へるそぞろ寒 |
五郎 |
竜灯も夜春節の中華街 |
弘棋 |
トランペット頬に木枯し散らしける |
雄蕉 |
稽古終え家路へ急ぐ冬日暮 |
春 |
|
|
2024年12月定例句会第161回 |
青空の青どこまでも冬来る |
あきこ |
秋うらら健診結果異常なし |
ヒサ |
シングルマザーの涙や恋やクリスマス |
雄蕉 |
輝いて褪せて静かに山眠る |
啓子 |
さざんかの花ほろほろと雨上る |
あきこ |
雲の群塗り絵の如き冬の朝 |
春 |
第九聴くホールに香る師走かな |
弘棋 |
錠剤の転がりて起つ寒夜かな |
あやこ |
裏表なしに道散る木の葉かな |
弘棋 |
隣家の子サンタに抱かれママ探し |
きょうこ |
枇杷の花又明日ねと手を振りて |
きょうこ |
ズワイガニのキャンペーン紙面赤一色 |
五郎 |
木漏れ日の表参道銀杏散る |
あきこ |
老いの身の今年限りと煤払ひ |
ヒサ |
雪静か積もるも難儀方丈庵 |
雄蕉 |
青春のアルバム消去冬の晴 |
啓子 |
青き空とび円描く冬日和 |
春 |
冬ざれの牛に黄色と赤のタグ |
あやこ |
薄墨を空に流して冬ざるる |
弘棋 |
心不全をふうはり包むカーディガン |
あやこ |
冬至日や無病祈願南瓜食ぶ |
ヒサ |
一部屋を突き抜け届く冬至の日 |
五郎 |
笹鳴きを聞ける倖せ荒れし庭 |
五郎 |
大方は散りていよいよ冬隣 |
啓子 |
夕映えに色を尽して冬紅葉 |
あきこ |
冬日和石段研きあと二段 |
ヒサ |
コンビニの屋根は富士山雪景色 |
雄蕉 |
荒草に色添えにける石蕗の花 |
春 |
小春日の窓辺や猫の指定席 |
弘棋 |
大きく太く草千里抱く冬の虹 |
あやこ |
冬木立ペン画の如き小枝かな |
春 |
ゴミ漁り人だかり見る寒烏 |
雄蕉 |
人生を浮き沈みして柚湯かな |
五郎 |
身の丈の歩幅で歩む師走かな |
きょうこ |
息白しかつては歌い切る高音 |
五郎 |
年の瀬や昭和を背負い令和まで |
啓子 |
欄干の朱に白添えて冬かもめ |
弘棋 |
島原の昔話を北風に聴く |
あやこ |
二胡の音に草原駆くる冬日向 |
春 |
残る世は一日勝負実南天 |
啓子 |
大晦日澄み渡る世のメゾソプラノ |
雄蕉 |
友からの万華鏡の美秋一日 |
ヒサ |
踏み歩く落葉の音を楽しまん |
あきこ |
集めては梟と化す枯芒 |
五郎 |
年の瀬の大売出しと昭和めく |
きょうこ |
枯落葉憂国の地にそれも無し |
きょうこ |
|
|
2025年1月定例句会第162回 |
入日燃え寒林の色鮮やかに |
あきこ |
七草の粥のストンと腹に落つ |
きょうこ |
初夢は子どもの頃の思い出と |
ヒサ |
冬の旅心のままにいざ出発 |
春 |
手馴れたる手返し上々餅を搗く |
五郎 |
初富士や吾妻山より相模湾 |
啓子 |
鐘の音に想ひや如何に除夜の能登 |
弘棋 |
門松に望みこめたる詫び住まい |
雄蕉 |
年毎に手抜きの多くおせちかな |
ヒサ |
新年や巨大な無知のご来臨 |
雄蕉 |
バスの中くしゃみし人をそっと見ゆ |
春 |
復興の能登に冬木の芽の緋色 |
あきこ |
牛歩でもはじめの一歩年新た |
きょうこ |
やることのまだまだ多く年迎ふ |
ヒサ |
除夜の鐘煩悩失せし小夜耽り |
春 |
新春や往路復路に夢つなぐ |
啓子 |
成人の祝辞も空に見るスマホ |
弘棋 |
幣を振り穢れ吹き飛ぶ納め札 |
雄蕉 |
箱根路を夢に走りて寝正月 |
弘棋 |
賀状にも定年ありととぐろ巻く |
きょうこ |
年玉に手を出す孫に背伸びして |
春 |
夜更けまで準備いろいろ年の暮 |
ヒサ |
冬の富士江の島踏まえ海は凪 |
啓子 |
ふと香る夫亡き部屋の水仙花 |
あきこ |
大吉を枝に結びて年初め |
きょうこ |
松過ぎて百に間のある一人旅 |
啓子 |
寒晴れや水面に弾く日の光 |
あきこ |
ふぐ刺しを箸にまとめて二三枚 |
五郎 |
人は皆道それぞれに去年今年 |
弘棋 |
能登の華右往左往で雪の下 |
雄蕉 |
暮早し闇にとけゆく山の色 |
あきこ |
一輪の水仙部屋を明るうす |
きょうこ |
大雪に吾子の結婚空仰ぐ |
春 |
思い出の冬コートの捨てきれず |
ヒサ |
初春の丹沢山地揺らぎ無し |
啓子 |
あれもこれも絶てり服喪の三ケ日 |
五郎 |
急逝に心乱れる初鏡 |
五郎 |
遥かなる山を影絵に初茜 |
弘棋 |
神棚に三百年の初日の出 |
雄蕉 |
先立たれ独り見上ぐる冬の星 |
五郎 |
|
|
2025年2月定例句会第163回 |
立春や梢は早もほの紅し |
啓子 |
何事もなく暮れ蜆汁旨し |
あきこ |
手の平にふはりと消へし春の雪 |
あやこ |
身に凍むやテレビ相手に一人酒 |
ヒサ |
竜天に登る天下に叱られる |
雄蕉 |
春一番テニスボールを打ち返す |
春 |
豪雪に地軸の歪みなかりしや |
五郎 |
春霞海分かち行くクルーズ船 |
きょうこ |
大雪の予報にひそと春立てり |
弘棋 |
蝋梅の香に誘われて寺の庭 |
弘棋 |
午後からは雨を呼ぶ風草青む |
あきこ |
控えめに常なる暮し春間近 |
啓子 |
蒼天に応へ紅梅満開に |
あきこ |
除雪車の音に目覚めし能登の宿 |
あやこ |
純白に真青の目立つ七草粥 |
ヒサ |
スマホ手に暇暇で魚氷に上る |
雄蕉 |
春の池静寂破る鯉の群 |
きょうこ |
散歩道踏むに踏まれぬ落椿 |
春 |
春の雲地球自転を超えにけり |
五郎 |
風強く吹く風強く春一番 |
弘棋 |
自転車を独り起こす子いぬふぐり |
五郎 |
冬鳥の片足立ちの岸辺かな |
あやこ |
長閑しや鳶悠々と不動池 |
啓子 |
紅梅やその先無垢の青い空 |
啓子 |
水音に風音に聴く春の声 |
あきこ |
餌台にメジロ来ている三時かな |
あやこ |
生きること気力なりけり年新た |
ヒサ |
鷹鳩に化すや女の言ひとつ |
雄蕉 |
バレンタインデー父母知らずこの文化 |
きょうこ |
東雲のグラデーションの冬の朝 |
春 |
縁遠きすてきなバレンタインの日 |
五郎 |
吹く風に襟を立てたる余寒かな |
弘棋 |
春の山佳き鳥の声にぎにぎし |
春 |
冬晴れや木守柿見ゆバス通り |
ヒサ |
早春や三浦大地に日差し濃く |
啓子 |
白梅の明日を待たず枝走る |
きょうこ |
早春の光ついばむ雀かな |
あきこ |
窓中に光の春の来てをりぬ |
あやこ |
ふと気づき句を書きとむる夜長かな |
ヒサ |
いつの世も踏み絵の重み生き残る |
雄蕉 |
うすらひや「今年こそは」とスマホ切る |
きょうこ |
春光や謝する事多し古寺巡り |
春 |
新しき黒き位牌に梅一枝 |
五郎 |
心待ち心置きなく梅の花 |
弘棋 |
創世の旅書き直す春のガザ |
雄蕉 |
|
|
2025年3月定例句会第164回 |
日だまりの石垣を割り花すみれ |
あきこ |
雪予報外れて友とハイキング |
ヒサ |
単線のホームに春の降り立ちぬ |
きょうこ |
春めくや開花予想の立ち始む |
五郎 |
西国の終い霜とや旅支度 |
あやこ |
桜花太平洋に沈みけり |
雄蕉 |
彼岸会や悟り浅きも御念仏 |
啓子 |
抱く犬の強き鼓動や春の風 |
春 |
車窓より望む田浦や枝垂れ梅 |
弘棋 |
幼少の思い出祖母と蓬餅 |
弘棋 |
初島を少し浮かせて春霞 |
あやこ |
ふるさとは風ゆるやかに桃の花 |
あきこ |
春の日や終日たゆたう飼い葉桶 |
潜 |
若布干す浜辺の風はふかみどり |
あきこ |
森抱く池や春光集めをり |
きょうこ |
草も木も春光溢る中にあり |
ヒサ |
何々の日の乱発や山笑ふ |
五郎 |
朱の椀に大蛤のあぶくかな |
あやこ |
杜甫と逢う長生の春爛漫と |
雄蕉 |
散歩道巡り巡りて梅見かな |
春 |
如月を踏んづけ歩く散歩かな |
弘棋 |
北国に申し訳なき都市の雪 |
啓子 |
古年の栞めくりて春浅し |
潜 |
咲きて四分散りの六分で桜かな |
潜 |
春を消す魔法使いの齢なり |
雄蕉 |
タンポポの一皿卓は春呼べり |
きょうこ |
高原の水の匂ひやレタス食ふ |
あきこ |
針山に針古びたり針供養 |
きょうこ |
朝冷えの洗顔ポットの湯に目覚む |
ヒサ |
春光や絵馬を探して笑み返し |
潜 |
忌明けなほ残る寒さの厨かな |
五郎 |
春の日や笑い弾ける落語会 |
春 |
白魚に光の透きて海テラス |
あやこ |
春の海言い足りずただ別れけり |
雄蕉 |
早咲きの桜見たくて松田山 |
啓子 |
春雨のけぶる港に染む汽笛 |
弘棋 |
鳥雲に思い叶わぬ拉致家族 |
啓子 |
バチカンの教皇も人春の風邪 |
五郎 |
春の山ゆふべの雨に匂ひ立つ |
あきこ |
母想う深き香りや沈丁花 |
きょうこ |
麗しき富士を眺めて墓参り |
ヒサ |
生きてゐしシーラカンスや春の海 |
五郎 |
行き戻る光のあゆみ春淡し |
あやこ |
たむろする大師遍路の渇きかな |
雄蕉 |
白球を追ふ少年に春の風 |
春 |
桃咲くや甲府盆地に色を添え |
啓子 |
一人急く家路を照らす朧月 |
弘棋 |
望む雨降れば心は散り桜 |
潜 |
ただいまに迎える香沈丁花 |
春 |
パエリアや絞るレモンの春立ちぬ |
ヒサ |
|
|
|
|