俳句会 IN蕉
会員全句集


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きょうこ
2023年度
ちゃぶ台の父は聞き役しじみ汁
キッチンにカタカナレシピ春野菜
菜の花に朝の光や卵焼き
芽吹き初む山のもてなし尾根伝い
タクト振る巨星も座に入る春北斗
春の雪一両電車に急ぎ足
八分咲き老いを忘れし梅見かな
八十路過ぎ主婦も定年山笑う
両の手に落ちてはとけし春の雪
伝えたきこと耳うちし春一番
またひとつ年重ねしと初日記
息災の字に力あり賀状かな
元旦の神のいたずら能登の島
春近し水輪の襞の輝けり
辰の絵の破魔矢柏手清々し
パンデミック地球丸ごと冬来る
古屋にも表札残れり冬日差す
十一枚めくりめくりて師走かな
寒昴眠らぬ東京蒼白き
降る星に十二月八日父をみる
落ちきらず迷う木の葉のうらおもて
裸木に冬日の斜め長き影
掃き終えて背より攻めくる落葉かな
信楽にワインとチーズ勤労感謝の日
綿虫のなにか言いたげ目の高さ
踏みしめて秋の足音生まれけり
案山子にも大志ありやと北を指す
庭木刈る陽のたっぷりとこぼれけり
藤袴名の無き墓の後ろにも
柿の実は葉落つるを待ち赤くなり
新米のとぎ汁清し二合分
八十路過ぎ身の丈ほどの良夜あり
主より庭の主なり次郎柿
座敷居や満天授かり大花火
駅弁に「限定品」とあり茸飯
流れ星今日の一日余生とす
盆の月今日は父母想う日よ
秋の雷雑草を跨いで軒を借り
白球に千の眼や秋の空
朝露の青きに染まる蛍草
足踏みのミシンに頼る夏着かな
大南風大樹小樹をすり抜けて
籐椅子にもたれ名画の人となる
慣れぬ果て体温超ゆる暑さかな
戦いに正義閉じ込め合歓の花
老鶯の声惜しみなきラブコール
神妙に茅の輪くぐりて母探す
青梅のたわわ更なる余白なし
夏木立抜けて現る人の声
病葉きしむ正義に国憂う
柿若葉木の大方を羽織りけり
青梅の少し紅みて落つる音
銘木の箸でくずさむ冷奴
記念樹も大樹となりぬ薄暑かな
鯉幟川面に泳ぐト音記号
帰る雁故郷の焦土を知らざりし
老母の背を追いかけ追い越す落花かな
山笑ふ子ども五人のかくれんぼ
散る花の色放ちたる手水鉢
病む友の花の知らせに安堵せし
2024年度
単線のホームに春の降り立ちぬ
森抱く池や春光集めをり
タンポポの一皿卓は春呼べり
針山に針古びたり針供養
母想う深き香りや沈丁花
春霞海分かち行くクルーズ船
春の池静寂破る鯉の群
バレンタインデー父母知らずこの文化
白梅の明日を待たず枝走る
うすらひや「今年こそは」とスマホ切る
七草の粥のストンと腹に落つ
牛歩でもはじめの一歩年新た
賀状にも定年ありととぐろ巻く
大吉を枝に結びて年初め
一輪の水仙部屋を明るうす
隣家の子サンタに抱かれママ探し
枇杷の花又明日ねと手を振りて
年の瀬の大売出しと昭和めく
身の丈の歩幅で歩む師走かな
枯落葉憂国の地にそれも無し
木枯しの過ぐるを待ちて雨戸開け
枯枝をおろす夫の背冬の蝶
母似なる人とベンチで日向ぼこ
初雪や地球に訳あり百三十年
様々な落葉踏む音様々に
故郷を忘れじ鮭の眼かな
天高し雲に形あり名もありて
ナナカマド乗り合いバスの窓ふるる
街燈の先の足早秋の暮
カタカナの葡萄の粒の甘さかな
朝刊のにほいに目覚む秋の風
プレイバック稲穂波立つ休耕田
武士の安堵の一瞬や萩の寺
秋陽射し大樹は影を伸ばしゆく
娘の背には追ひつかぬ声大花野
みちのくの曳山ひいて秋の空
到来の桃の蘊蓄卓の上
老二人とぎれぬ会話月見豆
手に負えぬ雑草に脱帽終戦日
墨の濃き卒塔婆かかへ施餓鬼寺
畳の間古き扇風機昭和の人
夏蝶の風に戻され操られ
平和といふ線香花火の儚さよ
備前焼白百合の白際立てり
雪残る夏山遠くテント張る
田植えする児等の奮闘未来あり
夏うぐひす今日を限りか声しきり
時の日や役場のメロディー五時丁度
あじさいのどの花びらもルノワール
あじさいの好きな娘も嫁ぎけり
新緑を屋根にし登る観音堂
夏空を見たくてジャンプ池の鯉
梅の実の主なきとて巫女の手に
空豆の届き友の走り書き
香水をつけるでもなく我に買ふ
ランドセル背中をはみだす春の陣
空塞ぐほどの大樹の芽吹きかな
故郷の訛無くなり啄木忌
究極の囀り山に谺して
柔らかき陽射し集めて春キャベツ
2025年度
十二色庭にも有りし四月かな
桜撮る五指にネイルの樹下美人
追ふやうに山のぼりゆく桜かな
一本の桜見るため時刻表
せせらぎをやや狭くして散り桜












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